作家コメント 古市正彦

毎朝、少し早めに仕事場に着き窓辺でコーヒーをわかす。窓は東を向いていて、陽の光が部屋を暖める。屋上に上がり大学の校舎越しに北の空を見ると、背の高い建物がところ狭しとひしめき、横へ横へと広がる。西を向けば雪に包まれた山がそびえ、眼下には銀杏並木。冬の訪れを確かめ、また暖かな窓辺で二杯目のコーヒーを入れる。私の中で、少し時間の流れが変わったようだ。窓から、外の景色を眺める時間も増えた様に思う。それと比例、又は反比例して見えてくるものは、これからも変わっていくだろう。絵のタイトルは-Thruogh the window-。私が好きな音楽家の曲のタイトルと同じだ。「気持ちが、戻る場所。」今回"Re"というキーワードは、私にそれを考えさせた。私の絵は、何かが通り過ぎてから生まれてくる。それでやっと、本当の事に近づけるようだ。

今回は、立体の作品は展示しません。#1,#2をご覧の方々を良い意味で裏切り続ける事が出来れば、幸いです。そして#3からお越しの方々の心を、ちょっとでもくすぐれる様な作品を、お見せ出来れば幸いです。